外交・安全保障の政治用語一覧
60語の政治用語を収録しています
国家間の交渉や関係管理を行う平和的手段による国際関係の処理。外務省が中心となり、大使館や領事館を通じた在外公館網で実施される。二国間外交、多国間外交、首脳外交など多様な形態がある。日本外交の基軸は日米…
国家元首や首相同士が直接会談することで、最高レベルの外交交渉。二国間の重要課題の解決や関係強化のために行われ、共同声明や合意文書の署名に至ることもある。日本の首相は就任後まず訪米して日米首脳会談を行う…
首脳自らが積極的に外交交渉を行うスタイル。従来の外務当局間の実務外交に加え、首脳の個人的信頼関係やリーダーシップを活かして外交課題の解決を図る。小泉純一郎首相の訪朝や安倍晋三首相の地球儀俯瞰外交などが…
調停者が紛争当事国を行き来して交渉を仲介する外交手法。キッシンジャー米国務長官が中東和平交渉で行ったのが代表例である。直接対話が困難な紛争当事者の間を仲介者が往復し、双方の立場を伝えながら妥協点を探る…
国際連合の略称。国際平和と安全の維持を主たる目的とし、1945年に設立された国際機関。193カ国が加盟する世界最大の国際組織である。総会、安全保障理事会、経済社会理事会、国際司法裁判所などの主要機関を…
国連の主要機関で、国際の平和と安全に主要な責任を持つ。米英仏露中の常任理事国5カ国が拒否権を持ち、非常任理事国10カ国と合わせた15カ国で構成される。紛争解決や制裁の決定、PKOの派遣などを行う。常任…
国連平和維持活動の略称。紛争地域の平和維持のために国連が派遣する活動で、停戦監視、武装解除、選挙支援などを行う。日本は1992年のPKO協力法成立で自衛隊の派遣が可能になり、カンボジアへの派遣が最初の…
主要7カ国首脳会議。日本・米国・英国・フランス・ドイツ・イタリア・カナダの首脳が国際問題を協議する。EUも参加する。1975年のランブイエ・サミット(G6)が起源で、その後カナダを加えG7となった。経…
主要20カ国・地域首脳会議。G7に加え中国、インド、ブラジル、ロシア、韓国、オーストラリアなど新興国を含む。世界のGDPの約8割を占める。リーマン・ショック後の2008年に首脳級会合に格上げされ、国際…
東南アジア諸国連合の略称。インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイなど10カ国が加盟する地域協力機構。1967年に設立され、経済、政治、安全保障、文化など幅広い分野で協力を進めている。…
日本・米国・オーストラリア・インドの4カ国による安全保障・外交の協力枠組み。正式名称は「日米豪印戦略対話」。中国の台頭を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を共通目標とする。2007年に安倍晋…
米国・英国・オーストラリアの3カ国による安全保障パートナーシップ。2021年に発足し、オーストラリアへの原子力潜水艦技術の供与が最大の柱である。インド太平洋地域における中国の軍事的台頭への対抗が背景に…
北大西洋条約機構の略称。米国を中心とした欧米の軍事同盟で、1949年に設立された。現在は31カ国が加盟し、加盟国への武力攻撃を全加盟国への攻撃とみなす集団防衛の原則を持つ。ロシアのウクライナ侵攻以降、…
日米安全保障条約に基づく日本と米国の同盟関係。日本の外交・安全保障政策の基軸とされる。米軍が日本に駐留し日本の防衛に協力する一方、日本は基地を提供する。安保条約は1951年に旧条約が署名され、1960…
日米安保条約に基づき日本に駐留する米軍。約5万4千人が駐留し、基地の約7割が沖縄県に集中している。米軍基地の存在は日本および東アジアの安全保障に寄与する一方、沖縄を中心に騒音、事件・事故、環境汚染など…
在日米軍駐留経費の日本側負担。正式名称は2022年から「同盟強靡化予算」となった。基地従業員の労務費、光熱水料、訓練移転費などを日本が負担しており、年間約2000億円規模である。「思いやり予算」の名称…
日本の防衛組織。陸上・海上・航空自衛隊の3軍種で構成され、約24万人の実員を擁する。専守防衛を基本方針とし、憲法第9条の下で「戦力」ではなく「必要最小限度の実力」と位置づけられている。内閣総理大臣が最…
相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するという日本の基本的な防衛方針。憲法第9条の解釈に基づき、先制攻撃を行わず、防衛力の行使は必要最小限度に留めるという原則である。全ての内閣が基本方針と…
集団的自衛権の限定的行使を含む武力行使の要件。2014年の閣議決定で定められた。①日本の存立が脅かされる明白な危険があること、②他に適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力行使にとどめることの3要件…
日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、それにより日本の存立が脅かされる事態。2015年の安保法制で新たに規定された概念で、集団的自衛権の限定的行使が可能となる要件の一つである。具体的には…
放置すれば日本への直接の武力攻撃に至るおそれのある事態。1999年の周辺事態法を前身とし、2015年の安保法制改定で「重要影響事態」に改められた。従来の「周辺事態」は地理的制約があったが、重要影響事態…
武力攻撃事態等に対応するための法制。正式には「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」(2003年)を中心とする。国民保護法、米軍行動円滑化法、特定公共施設利…
略称NSC。外交・安全保障政策の司令塔となる会議体。2013年に安倍政権が設置し、首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣の「4大臣会合」が中核となる。事務局として国家安全保障局が置かれ、各省庁の情報を集約…
日本の安全保障に関する最上位の戦略文書。2013年に初めて策定され、2022年に大幅改定された。改定版では中国を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置づけ、反撃能力の保有、防衛費のGDP比2%への引…
防衛力整備の基本方針を定めた文書。1976年に初めて策定され、数年から約10年ごとに改定されてきた。2022年の安保3文書改定で「国家防衛戦略」に改称された。大綱は自衛隊の規模、装備、編成の方向性を示…
5年間の防衛力整備を計画する文書。1986年に初めて策定され、防衛計画の大綱に基づき具体的な装備調達や人員規模を定めてきた。2022年に「防衛力整備計画」に改称され、総額43兆円という過去最大の防衛費…
サイバー空間における安全保障。国家や重要インフラへのサイバー攻撃が深刻化する中、防衛省にサイバー防衛隊が編成され、対処能力の強化が進んでいる。2022年の安保3文書では「能動的サイバー防御」が打ち出さ…
宇宙空間における安全保障。軍事衛星、ミサイル警戒、通信、測位などで宇宙の軍事利用が拡大しており、衛星破壊兵器(ASAT)や宇宙ゴミも脅威となっている。日本では航空自衛隊が「航空宇宙自衛隊」に改編され、…
特定国に対して貿易や金融取引を制限する措置。武力行使によらない外交圧力の手段として用いられる。国連安保理決議に基づく多国間制裁と、各国が独自に行う一方的制裁がある。北朝鮮の核・ミサイル開発やロシアのウ…
安全保障上の理由から特定品目の輸出を制限すること。大量破壊兵器の拡散防止や先端技術の流出防止を目的とする。日本は外為法や輸出貿易管理令に基づき規制を行う。韓国への半導体材料の輸出管理強化(2019年)…
国際法違反等に対する懲罰的措置。経済制裁、渡航制限、資産凍結、武器禁輸など多様な形態がある。国連安保理決議に基づく多国間制裁が最も正統性が高いが、常任理事国の拒否権により採択されないこともある。その場…
2つの国の間の外交関係。外交の最も基本的な形態で、首脳会談、外相会談、実務者協議など様々なレベルで行われる。日本の主要な二国間関係には日米、日中、日韓、日露などがある。同盟、友好、敏対など様々な関係性…
3カ国以上が参加する外交交渉や国際会議。国連、G7、G20、ASEANなどの国際組織やフォーラムを通じて行われる。グローバルな課題(気候変動、テロ対策、感染症、核不拡散など)は二国間では解決できず、多…
国家間で帰属が争われている領土に関する問題。日本には北方領土(ロシア)、竹島(韓国)、尖閣諸島(中国・台湾)の3つの領土問題がある。それぞれ状況が異なり、北方領土はロシアが実効支配、竹島は韓国が実効支…
歯舞群島、色丹島、国後島、択捨島の4島。第二次世界大戦末期にソ連が占領し、現在はロシアが実効支配する。日本は固有の領土として返還を求めており、日露平和条約が締結されていない原因でもある。1956年の日…
島根県隠岐の島町に属する島。日本は国際法上明確に日本固有の領土であると主張するが、韓国が1954年から実効支配している。韓国名は「独島(トクト)」。日本は国際司法裁判所への付託を提案しているが、韓国は…
沖縄県石垣市に属する島々。日本が実効支配しており、日本政府は「領土問題は存在しない」との立場をとる。一方、中国と台湾が領有権を主張しており、1970年代の海底資源調査以降に主張を強めた。2012年の日…
略称EEZ。沿岸国が資源の探査・開発等の主権的権利を有する海域。基線から200海里以内と定められており、水産資源や海底資源の排他的な利用権が認められる。国連海洋法条約(1982年)に基づく。日本はEE…
沿岸国の主権が及ぶ海域。基線(通常は海岸線)から12海里(約22km)以内と定められており、国連海洋法条約に基づく。領海内では沿岸国が排他的な主権を行使できるが、外国船の無害通航権は認められる。日本の…
外務省が毎年発行する外交に関する年次報告書。正式名称は「わが外交の近況」。その年の国際情勢と日本外交の取り組みを包括的にまとめたもので、地域別の外交、分野別の政策、国際社会の動向などが記載される。19…
防衛省が毎年発行する防衛に関する年次報告書。日本を取り巻く安全保障環境、防衛政策の基本方針、自衛隊の活動状況、同盟国との協力などが包括的に記載される。特に中国、北朝鮮、ロシアに対する評価の表現が毎年注…
日中関係において双方の利益を追求する関係のあり方。2008年の福田康夫首相と胡錦涛国家主席の共同声明で打ち出された概念。歴史問題や領土問題などの対立要素がある中でも、経済、環境、エネルギーなど共通の利…
略称FOIP。日本が提唱する地域秩序構想。2016年に安倍晋三首相が提唱し、法の支配、航行の自由、自由貿易の推進を柱とする。太平洋からインド洋にかけての広大な地域を対象とし、米国、オーストラリア、イン…
核兵器の削減・廃絶を目指す取り組み。日本は唯一の戦争被爆国として核軍縮を積極的に推進している。NPT(核不拡散条約)体制を基盤としつつ、国連での核軍縮決議案提出や広島サミットでの議論主導などを行ってい…
核不拡散条約の略称。核兵器の拡散防止を目的とする国際条約で、1970年に発効した。米露英仏中の5カ国を核兵器国と認定し、それ以外の国への核拡散を禁止する。同時に核兵器国には核軍縮交渉の義務を課す。イン…
核兵器の開発・保有・使用を全面的に禁止する条約。2017年に国連で採択され、2021年に発効した。被爆者や市民社会の運動が推進力となった。ただし、核兵器国(米露英仏中)や核の傘の下にある同盟国(日本、…
海外にいる日本人の安全を確保すること。在外公館(大使館・領事館)が中心的役割を担う。紛争、テロ、自然災害、感染症などの緊急事態での邦人保護が特に重要となる。自衛隊法の改正により、自衛隊による在外邦人の…
相手国の攻撃を思いとどまらせる軍事的・政治的能力。核抑止と通常戦力による抑止がある。日本は米国の「核の傘」(拡大抑止)と自衛隊の通常戦力を組み合わせた抑止力を基本とする。2022年の安保3文書で反撃能…
武力攻撃に至らないが平時とも言えない不安定な安全保障状況。中国公船による尖閣諸島周辺への侵入、南シナ海での人工島建設、サイバー攻撃、ハイブリッド戦などが典型例である。従来の有事・平時の二分法では対応が…
海外の紛争や災害時に現地の日本人を安全な場所に退避させること。邦人保護の具体的な形態の一つで、在外公館が中心となり自衛隊が輸送を支援する。自衛隊法の改正で車両や航空機だけでなく船舶も使用可能となり、武…
機密情報へのアクセス適格性を審査する制度。2024年に「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」が成立し、日本でも本格的に導入された。同盟国との機密情報の共有や先端技術の共同開発に不可欠とされる。…
弾道ミサイルを迫撃するシステム。日本は海上自衛隊のイージス艦(SM-3)による上層防衝と、航空自衛隊のPAC-3による下層防衝の二段構えで対応する。北朝鮮のミサイル開発の進展を受けて整備が進められてき…
全国瞬時警報システムの略称。弾道ミサイル情報や緊急地震速報、津波警報などを人工衛星を通じて全国の自治体に一斉配信する。市町村の防災行政無線や携帯電話の緊急速報メールで住民に伝達される。北朝鮮のミサイル…
武器輸出に関する方針。2014年に従来の武器輸出三原則に代わり策定された。従来の全面禁輸出から、一定の条件の下で防衛装備の海外移転を認める方針に転換した。平和貢献や国際協力の積極的推進に資する場合、同…
中国による台湾への軍事行動。日本の安全保障に重大な影響を及ぼす事態として議論されている。台湾は日本のシーレーン(海上交通路)に近接しており、有事の際には在日米軍基地が攀撃の対象となる可能性がある。存立…
インド洋から太平洋にかけての広域地域概念。日本外交の重要な舞台であり、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)構想の対象地域である。世界人口の半数以上が居住し、経済成長の中心地が多い。中国の海洋進出や軍…
海上交通路の安全確保や領海・EEZの防衛に関する安全保障。日本は資源や食料の多くを海上輸送に依存しており、シーレーン(海上交通路)の安全は死活問題である。海上保安庁と海上自衛隊が中心的役割を担う。中国…
原材料から製品が消費者に届くまでの供給網。経済安全保障の重要課題として注目されている。コロナ禁やウクライナ侵攻でサプライチェーンの脆弱性が露呈し、特定国への過度な依存のリスクが認識された。特に半導体、…
経済的相互依存関係を意図的に切り離すこと。主に米中対立の文脈で使用される。米国が中国との技術・経済関係を過度に依存するリスクを認識し、サプライチェーンの分離を進める動きである。半導体、AI、量子技術な…
完全なデカップリングではなく、リスクを低減する形での対応。2023年のG7広島サミットでEUのフォンデアライエン委員長が提唱し、対中国政策の新たなキーワードとなった。中国との経済関係を完全に断つのでは…